本年から「プログラミング教育」が学習指導要領の中に記載されることになりました。
くわしーく書くと長くなるので、簡単にまとめてご紹介。初歩的な部分をさらった内容になりますのであしからず…。
プログラミングと聞くと、「パソコンを使って、英語で文章(コード)を記載すること」というイメージが強いかと思います。学校教育の現場で、それらを教えるのかと言われれば、実はそうではありません。
「コンピュータに意図した処理を行うように指示することができる」ということを各教科で体験しながら、主に論理的な思考を育成することが狙いになっています。そのため、「プログラミングの授業」というものがあるわけではなく、上記の要素を取り入れながら各教科の授業を実施するのが、いわゆるプログラミング教育になります。
よく利用される Scratch とは?
「Scratch」とは、難しいプログラミング言語・正しい構文の書き方を覚えていなくても、簡単にプログラムを開発できるプログラミング学習用ソフトです。
一般的なプログラミングは、「関数や正しい構文の書き方を覚える→ロジックの構築→コーディング」と子供には難しい工程を踏まなくてはなりません。それらを、パズルを組み立てるようにして、その結果もビジュアルで把握することができるのが、Scrachの良い所です。
Scrach scratch.mit.edu/
具体的にどんなのかというと……超簡単な事例でご紹介します。下の画像と合わせてご覧ください。
図1のように「100歩動かす」「90度動かす」「100歩動かす」というパーツを組み立てます。すると、図1のキャラクターが、図3のように前進+90度回転+前進した結果を生み出します。
これだけ見ると「なんじゃそりゃ?」という感じかと思いますが……(笑)
「図2のキャラクター」に対して、どう命令をすれば「図3」の結果を導き出せるのか?
もちろん、答えは1つだけではありません。
例えば、「90度動かす」「100歩動かす」「-90度動かす」「100歩動かす」「90度動かす」ことでも同じ結果が得られます。そういったことを、四苦八苦しながら図1のような命令を考えることで、論理的な思考を養っていくことを狙っています。
それらを、幾重にも重ねていくと……こんなブロック崩しのようなゲームを作ることも出来るのが、Scratchの凄いところ。下の画像の中央部分が「プログラミング」をしている部分ですが、非常に複雑な指示が延々とされていたりします。
子供でもこういうのが出来ちゃうのが、Scratchの凄い所ですね。
西浦小学校での算数の授業の事例
例えばですが、ちょうど昨年度に西浦小学校で行われていた算数の図形に関する事業。
例えば、今までの教科書通りの授業であれば、
・〇角形には〇つの辺がある。
・外角を足し算すると360度になる。
・内角を足し算すると180度×(〇角形-2)になる。
などを単なる情報として教わります。
しかし、Scratchを使用して、キャラクターが動いた箇所に線を引きながら図形を描く授業をすると…。
・何回キャラクターは曲がった?(3角形だったら3回曲がるよね)
・キャラクターは何度回転させた?(何か規則性はないかな?)
・それなら10角形を書くには何度回転させよう?
という、子供はキャラクターを動かすというゲーム性で楽しみつつも、少し発展的なことも図形について学べるようになります。
プログラミング教育の最大の課題は先生側
今回はScratchだけ紹介しましたが、他にもさまざまなツールがあり、それらを各教科で活用することで、「論理的な思考」を養いつつも、各教科の学びを深めることができるの可能性を秘めています。
逆に言うと、「それっぽい機材・ソフトを使うだけ」に陥りがちなのも怖い所。結局は「道具」なので、それを使えば何でもオッケーという訳ではありません。その道具を活かして、子供にいかに分かりやすく伝え、各教科の学びの阻害をせずに論理的思考を養ってもらうかを考える必要があります。
先生方にとっては、非常に難しい問題だと思います。
プログラミング教育はもちろん、本年度にはタブレットも配備予定のため、ICTを活用した教育が一気に進みます。そこに追いつけない先生が出てくるのは当然想定できるので、そういった部分への教育・支援・サポートが重要になるかと思います。ICT支援員の学校配置の話も非常に重要ですし、先生方の1人1人のICTへの理解が必要不可欠になっていくのかなと。
この記事へのコメントはありません。